筋トレを始めたばかりの方や、これから本格的に体を大きくしたいと思っている方の中には、「いつトレーニングすればいいの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
「朝のほうが筋肉がつきやすい」「夜のほうがパフォーマンスが上がる」といった情報をSNSや動画サイトで見かけることもあると思います。
結論から言うと「トレーニングの時間帯は気にしなくてOK」それよりも継続することが大事です。
実際の研究結果も参考にしつつ、この点について考察していきたいと思います。
時間帯によって筋肉の成長や筋力向上に差は出るのか?
結論から言うと、「筋肉の大きさ(筋肥大)への影響は、朝・夜どちらで鍛えても差はない」というのが現時点での科学的な見解です。
2019年に発表されたシステマティックレビュー&メタ分析(複数の研究をまとめた分析)では、11件の研究データをもとに、レジスタンストレーニング(筋トレ)の時間帯が筋肥大と筋力に与える影響を直接検証しました(Grgic et al., 2019, Chronobiology International)。
主な結果は以下の通りです。
- 筋肥大(筋肉の大きさ):朝・夜どちらで鍛えても、筋サイズの増加量に統計的な有意差はなかった
- 筋力:朝グループ・夜グループともに筋力向上の幅は同等だった。ただし、トレーニングを続けるうちに「朝に鍛えると朝の筋力が上がり、夜に鍛えると夜の筋力が上がる」という時間帯特異的な適応が生じることが確認された
つまり、「夜しか時間がないから筋肉がつかない」という心配は不要です。朝でも夜でも、継続して鍛え続ければ、筋肉の成長という観点では同等の効果が期待できます。
なお、フィンランド・ユヴァスキュラ大学の研究(Küüsmaa et al., 2016, Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism)では、24週間のトレーニングプログラムにおいて後半(13〜24週)に夜のグループのほうが筋肉量の増加幅がわずかに大きかったという結果も報告されています。長期的な視点では夜のトレーニングがやや有利になる可能性も示唆されていますが、差は大きなものではなく、まだ研究途上の段階です。
「同じ時間帯に続けること」も役に立つ?
時間帯の優劣よりも、「一貫した時間帯でトレーニングを続けること」が効果に関わるという研究もあります。
2023年にアメリカスポーツ医学会の機関誌に掲載された研究(Schumacher et al., 2023, Translational Journal of the American College of Sports Medicine)では、運動不足の成人を対象に「朝・夜・自由選択」の3グループに分けてトレーニングの状況を比較しました。結果として、決まった時間帯(朝または夜)でトレーニングを行ったグループは、自由選択グループよりも中〜高強度の身体活動量が増加する傾向が確認されました。
「毎回バラバラな時間に行く」よりも、「いつもこの時間にトレーニングする」という習慣が、継続しやすさにも、体への適応にも好影響を与えると考えられます。
また、2025年に発表されたレビュー論文(Augsburger et al., Clocks & Sleep)によると、体温や筋肉のパフォーマンスは概日リズム(体内時計)の影響を受けており、午後から夕方(16〜19時ごろ)にピークを迎えるとされています。夕方〜夜のトレーニングは体の状態として動きやすいタイミングである可能性があります。一方でテストステロン(筋肉の合成に関わるホルモン)は朝に高い傾向があるため、朝トレにも生理学的なメリットがあり、どちらが一方的に優れているとは言い切れないのが現状です。
筆者自身のトレーニング時間について
自分は普段、平日の夜21時ごろ・休日の夕方にジムへ行くことが多いです。以前は早朝トレーニングも試したことがありますが、「朝は食事をしっかり摂れない」という点が課題で、最近は頻度が減っています。体を大きくするためには食事からのエネルギー摂取がとても重要なので、食前の空腹状態でトレーニングを続けることは、自分のスタイルに合っていませんでした。
ただし、スケジュールの都合で早朝しか時間が取れない日は、早朝に行くこともあります。「夜しかダメ」「朝じゃないと意味がない」というわけではなく、その日のベストな選択をすることを大切にしています。
まとめ
- 筋肉の成長(筋肥大)は、朝・夜どちらで鍛えても差はないことがメタ分析で示されている
- 同じ時間帯でトレーニングを続けると、その時間帯に体が適応しやすくなる
- 「どの時間帯か」よりも、「続けられる時間帯でやり続けること」のほうが何倍も大切
体を大きくしていくうえで、トレーニングを何年も継続できるかどうかが最も重要です。自分のライフスタイルに合った時間帯を選んで、まずは続けていきましょう。
参考文献:
- Grgic J, et al. (2019). The effects of time of day-specific resistance training on adaptations in skeletal muscle hypertrophy and muscle strength: A systematic review and meta-analysis. Chronobiology International. PubMed
- Küüsmaa M, et al. (2016). Effects of morning versus evening combined strength and endurance training on physical performance, muscle hypertrophy, and serum hormone concentrations. Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism. PubMed
- Schumacher LM, et al. (2023). Consistent exercise timing as a strategy to increase physical activity: A feasibility study. Translational Journal of the American College of Sports Medicine. PMC
- Augsburger GR, et al. (2025). Circadian Regulation for Optimizing Sport and Exercise Performance. Clocks & Sleep. PMC


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